ビー玉と世界

ゴミゴミした道路の端っこに、きらっと一瞬光った気がした。近づいてみて、驚いた。そこにはビー玉が落ちていた。 こんな所に、どうしてビー玉が落ちているのか。季節外れのお祭りでもあったのかな。ポツポツ推測しながら拾ってみて、多少の汚れを拭ってから…

此方より

部屋を綺麗にしていくと、懐かしいものがあとからあとから出てくる。もう使っていないお財布に挟まっていた大吉のおみくじとか、百均で揃えたメイクセットとか、現像してそのままになっていた写真とか。その写真に写っている、かつて大切だった人と、もう何…

冬将軍来る

私は常々、いい人でありたい、と思って生きている。ここでの「いい」はめっぽう優しいとかそういう意味ではなくて、「善良」という意味の「善い」だ。できるだけ人を傷つけたくないし、困っている人には手を貸したいし、世界平和を願っているし。でも実際、私…

立冬過ぎ

「あなたの青春の味は何になるかしらね」そう言って穏やかに笑った先生は、「私のはこれ」と言いながらひとつのボタンを押した。ガコンという音と、取り出されたピーチティーのピンクのフィルムがやけに印象に残っている。高校生のとき、今と同じ、冬の初めのこ…

遠くの場所には

10月某日、私は香港に行ってきた。ソウルに引き続き、今年2箇所目の海外だ。私の父の出張に付いていくという形だったので、2泊3日の昼間のうちのほとんどを、一人行動した。そしてこれがまた楽しい。不安だったのは最初だけで、もうひとり最高、気楽最高!と…

言葉と喧嘩

前期に書いたブログでも出てきた、必修の英語の授業でのこと。その日のトピックスは、「近所の人との喧嘩」だった。パートナーを組みお題を配られて、それについて抗議する側と、反論する側に分かれる。例えば、「近所の人の子供が、あなたの庭の果物を盗んで…

秋めく夜のこと

私たちはどうやっても、他人からの愛情が欲しい生き物だ。それは友達であれ恋人であれ。つまるところその人と血が繋がっていないことが重要なわけだ。 とても親しい友達に初めての恋人ができた。おめでたいと思うと同時に(白状するが)、無性に寂しくなってし…

侮るなかれ

9月の中盤、私は所属している部活(ほとんどサークル)の合宿に参加した。音楽系の部活だが、基本的に個人で弾き語りをする人の集まりだ。行きのバスで、2人がけに1人で座っている人が数人いた。人数は全部で偶数なので、1人になる人は出ないはずで、要するに…

「べ」の字もない

私は先日、人生でほぼ初めての海外旅行に行ってきた。韓国に2泊3日の超短期旅行。ちなみに3歳の頃に両親とサイパン旅行に行ったらしいが、当たり前のように記憶は無い。だから、”ほぼ”。恥ずかしながら白状すると、母国を出るということを甘く見ていた。韓国…

空は遠く、青く

私がブログを始めたきっかけはいくつかあるけれど、そのひとつに、ずっと前から読んでいるブロガーさんの存在がある。その人は女性で、関西に住んでいる社会人。韓国のアイドルグループが好きで、猫ちゃんと暮らしている。そして、パソコンのキーボードを叩…

ポニーテールと夏

高校時代の友人に、「あなたのポニーテールを見ると、夏が来るんだなあって感じがする」って言ってもらったことがある。最近本当に暑い。まだ6月なのに…と思ってカレンダーを見たら、あと数日で7月だった。今年の4月は新しい環境に突っ込まれたからか、とても…

18歳を飼い慣らす

ため息が出るほどに、難しくて、めんどくさい年齢だなあ と実感している。 このブログにいちばん最初の投稿に、同じ趣旨の言葉を書いた。 「18歳とは、難しい年齢だ。お酒やたばこは許可されていないくせに、納税の義務が課せられて、国政に参加する権利が…

心が軽くなることば

母国語を使って話すとき、私たちは言葉に心を乗せることが出来る。 言葉だけの意味合いを超えて、ニュアンスとか、チョイスとかで、自分の感情を表現することが出来る。しかも日本語はとにかく語彙が多いから、極めれば極めるだけ言葉が奥深くなるだろう。逆…

後輪に人生

道端ですれ違った、自転車に乗ったサラリーマン。明らかに仕事帰りで、スーツにネクタイを閉めていた。顔はちょっとしか見えなかったけれど、多分私の父と同じくらいの歳。立ち漕ぎをしながら、勢いよく私を通り過ぎていった。その人が乗っていた自転車の後…

ゆっくり悲しむこと

感受性が強いということが、生きていて大きなハンデになる時がある。不幸な出来事が自分にはなんの影響も及ぼさないところで起こったとしても、勝手に共感して、深く傷ついてしまう。他人の喜びを分かち合えるぶん、他人の不幸も分かち合ってしまう。私は幼…

自分は魔女だと思っていた。

自分は魔女だと思っていた。年頃になれば、箒で空を飛べるようになると思っていた。小学校の掃除の時間、定期的に思い出しては箒に股がってみたりしていた。小学校高学年あたりまでは本気で信じていたのだから、私は他の人と比べると大分、夢見がちな少女だ…

着物を着たい!!

着物を着たい。着ればいいだろ!というツッコミが来るかも。卒業旅行で京都に行って、清水寺近辺で着物をレンタルした。日本人本来の衣服である、着物。現代に生きる私は、ハレの日でもなければ触れる機会がない。しかしながら、着物レンタルは観光地を中心…

大学生になって・・・

何か始めてみたい、という意気込みだけは立派にある。 大学生になってしまった。もう十八歳、だけどまだ十八歳。 これからの四年間。社会に出るまでのモラトリアムを自分がどのように過ごすのか、私にはまだ、想像できない。 同い年の友達に、「飲みに行かな…